家庭菜園の肥料まとめ|種類・使い分け・施肥量とタイミング完全ガイド

家庭菜園の肥料まとめ|種類・使い分け・施肥量とタイミング完全ガイド

「何を・どれくらい・いつ与える?」に迷わないための決定版。本ガイドは、N(窒素)・P(リン酸)・K(カリ)の役割と、pH・EC・有機/化成・元肥/追肥の設計を、庭・畑・プランターすべてで再現できる形に整理しました。欠乏や過剰の診断→応急処置→再発防止まで一直線に解説します。

この記事で解決できること
  • N-P-Kの効かせ分け(葉・根・実)と、マグネシウム/カルシウム/微量要素の位置づけ
  • 有機肥料と化成肥料の違い、緩効性・被覆・液肥の使い分け
  • 元肥/追肥の設計テンプレ(畝・株・プランター別)と失敗しない量の決め方
  • pH/EC管理・石灰資材・塩類集積・肥料焼け対策

N・P・Kと二次要素・微量要素の役割

元素主な働き増やすと不足すると
N(窒素)葉・茎の生育、タンパク合成葉が茂る/色濃い黄化・生育停滞
P(リン酸)花芽形成、根張り、エネルギー実付き/根張りUP着花不良・発色悪化
K(カリ)耐病性、糖移行、気孔制御甘味/充実/耐暑寒葉縁枯れ・徒長
Ca(石灰)細胞壁/根の活着尻腐れ予防尻腐れ・芯腐れ
Mg(苦土)葉緑素の中心光合成UP葉間黄化(古葉から)
S・Fe・Mn・B・Zn・Mo酵素/成長調節欠乏矯正新芽黄化・奇形・花落ち等

pH(酸度)・EC(肥料濃度)の目安

  • 畑/庭土のpH(H2O)目標6.0〜6.5(イモ・根菜は6.0前後、葉菜は6.0〜6.5、果菜は6.5近辺)
  • プランターのEC目標:生育期 0.8〜1.2 mS/cm(作物で調整)。高すぎ=塩類集積リスク。
  • 石灰は播種/定植2週間以上前に。苦土石灰=pH矯正+Mg補給、消石灰は即効だが扱い注意。
とまとま
とまとま

pHは“土の器のサイズ”。器が小さいと肥料が効かないよ。まずpH→次に肥料、が鉄則!

有機肥料と化成肥料の違い(誤解を解く)

区分代表例効き方利点注意
有機肥料油かす・魚粉・骨粉・鶏糞・米ぬか・堆肥微生物分解→無機化して効く(温度依存)土団粒化・微生物相が育つ低温期は効き遅れ・過湿で臭気
化成肥料高度化成(例: 14-14-14)・単肥(硫安/過リン酸/硫酸カリ等)即効〜準速効(溶解→吸収)量の制御が簡単・安定入れ過ぎ=塩類集積・肥料焼け
緩効性/被覆マイクロ粒/コーティング粒(IB/LPコート等)温度×時間で徐放施肥回数削減・効きムラ減気温低いと効き遅れ
液体肥料ハイポ系・魚由来液肥即効(葉面/根圏)プランターの微調整に最適濃度過多に注意(EC)

代表的な単肥・資材の性格

  • 窒素源:硝酸態(速効・夏向き)/アンモニア態(やや緩効)/尿素態(土中で変換)
  • リン酸:過リン酸石灰(速効)・溶リン(酸性土で効きやすい)
  • カリ:硫酸カリ(無塩素)・塩化カリ(安価だが塩素で感受性作物注意)
  • 石灰資材:苦土石灰(Mg供給)・消石灰(速効)・炭酸カルシウム(穏やか)
  • 堆肥:土の物理性・生物性を上げる“地力の母”。肥料ではなく土づくり資材(NPKは低い)。

「土の温度」と「肥料の効き」

有機肥料の効きは微生物の仕事に依存。地温が上がるほど効き出しが早い。春先の立ち上がりは、緩効性+少量の即効分でブーストすると安定。

ラベルの読み方(保証成分)

例:14-14-14 はN・P2O5・K2Oのパーセント。必要量(g)=Nを基準に逆算すると過剰を防げます。

3つの設計層:土・作物・器(畝/鉢)

  1. :pHと有機物量(堆肥)で“器”を整える。
  2. 作物:葉菜=N多め/果菜=P・KとCa/根菜=KとP。
  3. :畝幅・株間・鉢サイズで面積/容量換算を行う。

元肥・追肥の考え方

  • 元肥:定植時に効きすぎないよう緩効性中心。根に触れないよう“植穴から離して”施す。
  • 追肥:生育ステージごとに少量多回。乾いた土に施し、必ず潅水

作物別・標準テンプレ(庭・畑)

区分元肥(m²あたり)追肥の目安メモ
葉菜(レタス/ホウレンソウ)堆肥1〜2kg+緩効性NPK(合計Nで5〜8g)収穫始期にN中心で小分け過剰Nは病害招く
果菜(トマト/ナス/ピーマン)堆肥2kg+緩効性NPK(Nで8〜12g)+苦土石灰開花・着果ごとにNPK均衡+Ca補強尻腐れ→Ca/潅水リズム
根菜(ダイコン/ニンジン)堆肥1kg+P・K中心(Nは控えめNで3〜5g)基本少なめ。葉色見ながら1回窒素過多=裂根・葉ばかり
イモ類(ジャガ/サツマ)堆肥1〜2kg+K多め(N抑え)ジャガ:蕾期に一度/サツマ:基肥中心N過多はツルぼけ

プランターのEC管理と液肥レシピ

  • スタート:市販培養土+元肥入り(緩効性)を選ぶと初期は追肥ゼロでOK。
  • 生育期:1〜2週間おきに既定の半分濃度から。受皿に溜めない(塩集中を防ぐ)。
  • リセット潅水:月1回、鉢容量の2〜3倍の水を流して塩類洗い流し(白い析出=塩類集積)。

「量の決め方」逆算テンプレ(例)

例:トマト2株・幅60cm×長さ2mの畝(1.2m²)。
標準N目安=10 g/m² → 1.2m²でN=12g
使う肥料が 14-14-14 の場合、その14%がNなので、必要肥料量 ≒ 12 ÷ 0.14 ≒ 85.7g(端数は85〜90g)。
→ これを元肥6割・追肥4割に分け、追肥は開花・着果ごとに小分けします。

追肥カレンダー(例:中間地・トマト)

  1. 定植2週間後:活着確認。葉色と生長を見て微量(液肥)
  2. 1段花房開花期:固形少量+潅水で溶かす
  3. 着果肥大期:同量またはやや増
  4. 以降、収穫継続中は2〜3週間ごとに葉色観察で微調整

欠乏・過剰の早見表(典型症状)

要素欠乏症状過剰症状対処
N全体黄化・生育停滞徒長・病害増・実付き低下速効Nを少量追肥/過剰は水やりで洗浄
P葉が暗緑〜紫、根張り不良Zn/Feの吸収阻害P追肥(骨粉/過リン酸)、pH調整
K葉縁枯れ・乾きに弱いMg/Ca欠乏を誘発硫酸カリ少量/バランス是正
Ca尻腐れ・芯腐れ(新葉)Mg/K拮抗石灰/カルシウム葉面散布・潅水安定
Mg古葉の葉脈間黄化Ca/K拮抗苦土石灰/硫酸マグネシウム
Fe新芽の黄化(葉脈緑)キレート鉄葉面散布・pH見直し
B芯止まり・花落ち・裂果微量要素入り肥料・過石のホウ素入りで補う

pH矯正:石灰資材の使い分け

資材効き方使いどき注意
苦土石灰穏やか+Mg補給標準。播種2週間前入れ過ぎでpH上がりすぎ
消石灰速効・強力酸性が強いとき肥料と同時混合NG(アンモニア揮散)
炭カル穏やか微調整長期目線で

塩類集積と肥料焼け

  • 症状:鉢縁の白い結晶、葉縁枯れ、生育停滞。
  • 原因:濃い施肥・受皿の水滞留・乾湿差の極端。
  • 対策月1回のリセット潅水、施肥は少量多回、受皿の水は捨てる。

連作障害との関係

肥料の偏り・有機物の未分解・病原の蓄積が絡む。輪作緑肥・堆肥で土を回復させ、偏ったN多用をやめると軽減。

堆肥の使い方(肥料ではなく“地力アップ材”)

  • 目安:畝m²あたり1〜2kg(多用しすぎない)。
  • タイミング:作付け前に全層10〜15cmへ混和。
  • 効果:保水・排水・通気の三拍子+微生物活性。

ボカシ肥の位置づけ

  • 油かす+米ぬか+魚粉などを発酵させた“ゆっくり効く有機”。
  • 春先は効き遅れやすい→緩効性化成を少量ブレンドで安定。

液肥の黄金比(プランター日常運転)

  • 市販液肥を規定の1/2濃度から。開花・結実期は1/1〜3/4へ。
  • 2回に1回は清水潅水でECを下げる。

作物別・年間施肥の目安(中間地基準)

作物元肥追肥要点
トマトN8〜12g/m²相当+苦土石灰+堆肥2kg開花・着果ごとに少量Ca・潅水リズムで尻腐れ予防
ナスN10〜12g/m²+堆肥2kg2〜3週ごと。高温期はこまめに過湿と過乾の振れを減らす
キュウリN8〜10g/m²+Kやや多め登はん後、収穫始期から頻回Kで食味・曲がり改善
ダイコンP・K中心。Nは控えめ基本1回だけ(葉色で)N過多=裂根・辛味
ニンジンP厚め・N控えめ中期に少量発芽確保が命
レタスN5〜8g/m²+堆肥1kg外葉展開期に微量過剰Nで軟弱・病害
タマネギ秋の定植前にP・K厚め厳寒期は控え、春先にN徒長回避で太らせる
ジャガイモK多め・N控えめ蕾期に一度窒素過多=ツルぼけ

保管・安全・法表示

  • 肥料は密閉・乾燥・冷暗所に。吸湿でダマになると溶出にムラ。
  • 袋の保証成分表示(N-P2O5-K2O%)を確認。開封日を記録して品質管理。
  • 石灰と窒素肥料の同時混合は避ける(アンモニア揮散)。
とまとま
とまとま

「量は数字で決める」が合言葉。N目安→ラベル%で逆算すれば、もう勘に頼らなくてOK!

よくある質問(FAQ)

Q1. 有機と化成、どちらが“正解”ですか?

正解は目的次第。土づくりと地力向上=有機、量とタイミングの精密制御=化成。多くの家庭菜園では、堆肥+緩効性化成+必要に応じて有機のハイブリッドが安定します。

Q2. 肥料焼けをしたかも。どうすれば?

鉢ならリセット潅水(鉢容量の2〜3倍の水)、畑は畝間潅水で洗い流し。以後は少量多回へ。

Q3. 尻腐れ果が出ました(トマト/ピーマン)。

Ca不足+乾湿差が原因。潅水リズムの安定、石灰/カルシウム資材の補強、過剰Nを控えます。

Q4. 葉が黄色い…追肥でOK?

新葉が黄化=Fe/微量要素・pH問題。古葉から黄化=N不足が第一候補。“どこから黄化か”で判断し、pHやECも確認。

Q5. プランターで最速に整える方法は?

元肥入り培養土+1〜2週おきの薄め液肥+月1リセット潅水。EC計があると安定します。

Q6. 緩効性を入れたのに効かない…

低温で溶出が遅い可能性。生育初期だけ少量の液肥でブーストして立ち上げ、気温が上がれば緩効が効いてきます。

関連記事で“意図の次段”へ誘導

スニペット対策(冒頭に差し込んでOK)

  1. 肥料の基本比率:葉=Nやや多め/実=P・K厚め/根=K・P>N。
  2. 元肥/追肥:元=緩効・根から離す/追=少量多回+潅水。
  3. 失敗回避:pHを先に整え、ECを上げすぎない。

構造化データ(FAQ)※Headに貼付

※本文末尾に下のショートコードを置いて内部回遊を底上げします。

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